釣り糸をリビングに保管する理由

渓流のフライだと、まだまだナイロンが主役。

釣り糸の保管方法

劣化の原因

難分解性が問題となるプラスチックといえども、光や熱などの環境ストレスにさらされると次第に劣化していきます。

釣り糸に使われるナイロン、フロロカーボン、PEもプラスチックの一種ですし、細さの割に強さが要求されるので、その影響は無視できません。

中でもナイロンラインには気を使います。

ナイロンティペットを巻いたスプール
私の場合、巻き量が多いルアー用のラインをティペットスプールに巻きかえて使うことが多く、使い切るまで何年かかかるので、保管方法はおろそかにできません。

50m巻を1シーズンで使い切るならば、そんなに気を使わなくてもいいんでしょうけど。

紫外線

もっとも気をつけなくてはいけないのは紫外線です。日光だけでなく蛍光灯の光にも含まれているので注意が必要。

透明なケース
こういう透明なケースに保管するのはやめておいたほうがいいです。

一般的にプラスチックは温度が低いほど寿命が長くなり(10℃2倍則)、また、急激な温度変化(ヒートショック)に弱いことが知られています。

とは言え、保管温度は低ければ低いほどいいというわけではありません。耐衝撃性に優れ低温に強いといわれるナイロンであっても、液体窒素に入れると、ちょっとした衝撃で折れてしまうでしょう(低温脆化)。

つまり、脆化しない程度の低温で且つ温度変化が無い場所での保管が理想です。

釣り糸を冷蔵庫で保管する人がいるのも、こういった理由からだと思います。

猛暑といえども気温で熱分解することはありえませんが、ナイロン(Tgが50℃くらい)の場合、夏場の車中放置を繰り返すと、その度に状態が変わってしまうので、あまり好ましくありません。

湿度

プラスチックには吸湿性、吸水性があります。特にナイロンが顕著で、条件にもよりますが、PA6だと吸水率は大気中で3%以上、浸水で10%以上にもなることがあるようです。

吸湿(吸水)すると強度が下がりますが、逆に耐衝撃性は上がります。ナイロンラインを水に浸けるとリールに馴染むというのは吸水して柔らかくなるからです。

柔軟性が増すというと悪いことばかりでは無いようにも思えますが、長期的に見ると、紫外線や熱による劣化を促進してしまうことが知られています

保存の面から考えると、低めの常湿に保ったほうが安心でしょう。

保管場所は

釣り糸は温度、湿度が高すぎず且つ安定していて、光が当たらない場所に保管するのが無難です。

私の場合、リビングのクローゼットの中に決めています。

なぜリビングかというと、人が居る時間が長く、我が家の中で最も温度、湿度が安定しているからです(冷蔵庫を除く)。夏は冷房、冬は暖房、乾燥すれば加湿器を使いますし。

もちろん冷蔵庫でもいいんですが、取り出した時に結露で急激に吸湿してしまう恐れがあるのと、カミさんがあまりいい顔をしないだろうという理由から止めています。

釣り糸を入れた海苔の空き箱
海苔の空き箱に入れ、光の当たらないクローゼットの中に収納。中には新聞紙を被せてあり、湿度調整も兼ねているつもり。

ナイロンほど繊細ではないフロロカーボンやPEも、この方法であれば問題ないでしょう。

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